次世代のケラスターゼ
首尾よく主幹事の座を獲得すれば、多額の引き受け手数料が手に入る。
これが主幹事ではなく、その他大勢組の共同幹事の地位に甘んじることになれば、引き受けのシェアは極端に小さくなり、それによって得る収益も小さいものになる。
主幹事は複数の共同幹事からなるシンジケート団(略してシ団)を形成し、主導的な役割を果たす。
単なるシ団の一員では、投資家からも相手にされない。
なぜなら、債券を購入する投資家も多くの割り当てを貰うためには、引き受け・販売の主導権を握る主幹事と取引をした方が有利だからだ。
どこかの企業の起債が決まり、主幹事の座を正式に獲得したとなると、その投資銀行の各部門に活気がみなぎる。
調査部のアナリストはその企業やセクターの周到なレポートを作成し、顧客に提供する。
同時に、ランチミーティングや個別訪問で、発行企業の魅力をアピールする。
投資家からは細かい質問も出て来る。
それにも淀みなく、機敏に答えなければならない。
アナリストとして一番の腕の見せどころである。
一方、セールスマンは皆、その債券を少しでも多く自分の顧客に売ることで、セールスクレジットを手にしようと躍起になる。
セールスクレジットとは、いわばセールスマンの営業収益のようなもので、これが後日、ボーナスの額を決める際の基準になる。
起債の成功・不成功は、発行企業の人気によるが、それは知名度、格付け、債券の発行条件などで左右される。
しかし、業績や財務内容が良好な企業でも、必ずしも人気企業とは限らない。
地味だけども、内容のよい企業であることを投資家に正確に伝え、その企業の発行する債券を買って貰うために、起債を引き受けた投資銀行は必死の努力をする。
財務が健全で、業績が安定している企業は、倒産などのリスクが低く安全性が高い。
そうした企業の債券は、支払う金利が低くても売れるのである。
発行条件の中でも支払う利率は、起債をする企業にとっても、これを購入する投資家にとってもとりわけ重要だ。
発行利率を決める上で、重要な役目を果たすのが、S&Pやムーディーズなど格付け機関による格付けである。
最も高い格付けがS&Pなら「AAA」、ムーディーズなら「Aaa」で、どちらも「トリプルA」と呼んでいる。
BBBあるいはBaa(これは「トリプルB」と呼至までが投資適格とされる)格付けが高いほど安全度が高いということになるが、同時に支払われる利率は低くなる。
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